上司に恋しちゃいました
撮影が早く終わったので、みんな自由な時間を楽しんでいた。


優樹菜は木の上で羽を休めている二羽の綺麗な白い鳥を見つけ、はしゃいでいた。


とても仲良さそうに頭を寄せ合っている。


あたしと鬼の王子は、そんな優樹菜の様子を眺めながら、砂浜に腰を下ろし、肩を寄せ合っていた。


「いい所だな。落ち着くよ。今回は撮影だったからスタッフみんなと一緒だったけど、来年は家族三人だけで来たいな」


「そうだね。でも来年は四人になると思う」


「また宮沢も連れてくるのか?」


鬼の王子の顔を見つめ、あたしは柔らかく微笑んだ。


「ううん。来年は、家族が一人増えるってこと」


鬼の王子は、時間が止まったように、固まったまま動かなくなった。


ようやく瞬きをひとつ、落としたと思ったら突然歓喜の声を上げて抱きついた。


その声に驚いた二羽の鳥が飛び立った。


「ああ!」と優樹菜が残念そうな声を上げたけれど、海の向こうに飛んでいく二羽の鳥を食い入るように見つめていた。
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