上司に恋しちゃいました
島田君は半べそ状態で自分のデスクに戻った。



短髪で肩幅が広い島田君。



学生時代は野球部だったらしく、その時の名残か肌が少し黒い。



あたしと年齢は一緒だが、島田君は大学院まで行ったので入社はあたしより二年遅い。



人懐っこくて少し照れ屋な島田君が、こんな悔しそうな顔をするのを初めて見た。



鬼の王子は背広を持って、恐い顔をしてオフィスを飛び出た。



ホワイトボードには外出と書かれていた。



「島田君……」



「はい?」



顔を上げた島田君の瞳は潤んでいた。



男の人の涙はドキっとしてしまう。


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