流れ星のカケラ【完】
「ねぇ、高瀬は「聖でいい。」
名前で呼ぶの?
昨日の私だったら
『無理に決まってるじゃん!なんでお前なんかを名前で呼ばなきゃいけないんだよ。』とか思って絶対に名前で言わない。
でも、もう私は違う。
「じゃあ聖はさ、5つ目のカケラだけ届いてないって言ってたよね?」
「あぁ。」
「聖の悲しみはなんだったの?」
聖には絶対に辛い過去があるはず。
そう思った私は聞いてみたの。
でも、聖、あなたは教えてくれなかった。
最初のうちは。
「教えられない。もう、思い出したくないんだ。」
「ごめんね。もういいよ。そろそろ教室戻ろ?」
「そうだな。」
聖の悲しみが気になったけど、
聞かなかった。
だって私だってあの過去を聞かれたら言いたくないもん。
「あっ、それともう私の名前は優貴でいいから。」
「…分かった。」
絶対に疑問だよね。
昨日は『名前で呼ばれる筋合いない!』とか言ったもん。
それから、私たちはすぐに教室に戻った。
教室のドアを開けて2人で入る。
みんなが私たちをジッと見るけど気にしない。
別に付き合ってるとかじゃないんだから。
ただ私の想いが一方通行なの。
私達が席についても誰もなんにも言ってこなかったし来なかった。
まぁ、もうすぐHRが始まるからみんな席についてるだけだと思うけど…。
あっ、美奈以外はね。
「仲直りできたの?」
「うん。美奈のおかげだよ。」
「よかったね。てか聞いて!神田くんとメアド交換しちゃった♪」
美奈、よく隣に本人いるのに小声だけど言えるね。
「その調子で頑張りなよ。」
「うん!」
聖の方を見ると聖も神田くんと何か話している。