私がヒールをぬいだ時
『君の仕事はなんなんだね?』

『俺は親父と農業やってます…』

『農業?』と恭平は笑った


『ひかるより、ずっと収入も低いし、話す事ないな』とまた笑った


『収入の低い高い、俺気にしませんよ…してたら人間キリないし』と新伍はさらりと答えた


『僕はひかると東京に戻るためこんな田舎までやってきたんだ!君とは勢いが違う!』


『ひかる、東京いくんか?』


『いくわけないやんか…この人一人で勘違いの一人よがり発言してるんよ』と私は呆れ顔で呟いた

『おい、ひかるなんなんだ!その言い草は』


『だって…私もう東京帰る気持ちこれっぽっちもないし…結婚相手は彼しか考えてないし…てかさあんたよくも図々しい台詞並べてくれたわね

これ以上間抜けな発言したら…大学病院の知り合い?あのパーティーにきてた連中に全部話すよ?いいの?仕事しにくいだろね〜マジで』と私は脅した


『詳しい事は俺もしらんけど…田舎田舎ってひかる馬鹿にするんやめてもらえるか?これでも先は俺の嫁さんになる女や

強くてたくましくて、優しい女なんや。そんなひかる傷つけといて、あんたはようこの家に上がれるな

まずは玄関でひかるに土下座やろ?男は悪い事したら誠意表して謝るべきや

あんたのは誠意違う、ただ自分の言い訳と我が儘通しにきただけやろが

俺はひかる信じてる。そうでなきゃ男と女は成り立たんのちゃうか?一人よがりと信じてるはちがうで谷本さん』


惚れ直した…


『青木さんの言う通りや、姉ちゃん泣かせて、自分の都合ようなったらまた付き合おうなんて虫が良すぎるんちゃうか?このG市はな田舎やけど、あんたみたいに腐った男はおらんで!田舎で悪いか!さっさと帰れ!』


丸美はテーブルが壊れるくらいの勢いでバンッと叩いた


恭平は立ち上がると私達に頭をさげて玄関に行った


『永遠のお別れだね』

『お別れは去年のクリスマスに終わってます』

『さよなら』

『さよなら』


そういって恭平は帰って行った
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