【短編集】フルーツ★バスケット

 何かを話すよりも早くに唇が重なった。

 結城の長い睫毛だけが視界に入る。

 ──嘘でしょ!?

 息が出来ないままその状態が続く

 ──く、苦しい。

 胸をドンドンと叩いても一向に離れてくれない。

 もう、駄目。
 ……限界。

「──ぶはぁ」

 ようやく離れてくれ、窒息ギリギリだったところから、新たな酸素を取り入れる事が出来た。

「安心した」

「何が?」

「キス、下手くそだな」

 わ、悪かったわね。
 頬を赤らめ、そっぽを向いた。

 あたしは、アンタと違って遊んでないんだから。

「柚希は俺がもらう」

 だから、あたしは誰かの者じゃないの!!



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