【短編集】フルーツ★バスケット

 教室、戻りたくないな。

 けど、もうちょっとしたら、1時間目も始まるし、それまでには戻らなくちゃね。


「このまま、フケるか」

「な、何言ってるの? 今からでも行けば間に合うんだよ」

「ったり~な」

「ほら、行くよ! 行きますよ? ……行きましょう」

 やりずらい。

 いちいち、人の言動に目くじらをたてないでもらいたい。

 そうかと思うと、クスクス声を圧し殺して笑っているし。

 失礼な奴。


「そんなに、仏頂面すんなって。とって、食ったりしねぇから」

 コイツの言葉なんて、信用なるものですか。

 あたしは、一歩後退り、距離をあけて保健室を後にした。

 あぁ、あたしはこの先、奴隷と化されるのかなぁ。


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