舞い誇る華
 

「藤歳~ファイト~♪」


突如動き出した斎藤に気付くと、置いてかれまいと若干苛ついている藤歳が後を追う。
そんな姿を雛菊は暢気に団子を頬張りながら見送るのだった。
























「ふぅ
危ない処じゃった
もう少しで〝新撰組〟と鉢合わせするところじゃったな~
流石に〝京″じゃー好きにうろちょろできんかのー」


雛菊の居た甘味屋から離れた処に後ろをチラリと見ながら歩いている土佐訛りの男が一人。


「それにしても 最近女子と話すと邪魔ばーっかりはいるのお」


そう、先程雛菊と話していたのはこの土佐訛りの男なのだ。


どんっ


ふーむっと顎に拳をあてくだらない事を考えていると肩に軽い衝撃が走りよろめく男。

顔を衝撃のあった肩の方へ向けると自分よりも背の高い笠を深く被った男がいた。


「そ…すみません」


そ?
男が謝罪の前に最初に口にした言葉に首を傾げる。


「おいっ!置いてくぞー」

「あっ今行きます!」


笠を被った男の前方から彼を呼ぶ声が聞こえ、慌てた様子で土佐訛りの男にペコリと一礼すると声の方へと走っていた。


顔を上げた際に、夕日が差し込み笠の中が一瞬見えた、土佐訛りの男は可笑しそうに笑う。


「ん?おお!面白いのぉ
…ほいたら そろそろ行こうかぇ」


んーっと背伸びをし呟くと男は歩き出すのだった。



 
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