舞い誇る華
 

男から目を逸らす事なく言う鈴蘭。



「これは紛れも無いあたしの中の〝正義″だから
わざわざ あれは得であれは損するなんて考えない
一々考えてたらキリないし面倒だと思わない?
そう言うこと考える方が勿体ないもの
それに…



人を助けようとする事に〝間違い″はないと思う」



迷いのない澄んだ声で鈴蘭はハッキリと言う。



「ふんっキレイ事を…」



嫌悪感を抱いている男を見て、言葉を続ける鈴蘭。



「見返りを求めるのは結構――
でも お金なんかよりも〝ありがとう〟って笑顔で言われる方が何倍も何十倍も心が温まるよ」

「お金は…懐を温かくしてくれるけど心までは温かくしてくれない…
懐よりも心を温めないといつか…取り返しのつかない事をしてしまいますわ」



鈴蘭がいったん言葉をきったと同時に 鈴姫は鈴蘭の言葉の続きを言い出す。
そして、言い終わると男の方を見て微笑む。
そのどこか影のある表情をした鈴姫を見た鈴蘭は気になっていた。




「……貴方自身嫌なんでしょ?
じゃなきゃ あんなにあたしに噛み付かないわ
あの言葉は自分自身の事も指していた…
その証拠に

今の 貴方はとても哀しい顔をしている」



「っ!!?デタラメ言うなっ」



図星のせいか 男は鈴蘭に言われたことにギリッと奥歯を噛み締めることしか出来ない。


 
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