同じ空の下で
「その前に」
僕は真鈴を後ろにかばい、言った。
「この子は関係ない。ただ巻き込まれてしまっただけだ。だから……」
「待って、祐希くん」
僕は真鈴を見た。雨に濡れた長い髪の毛が頬に張り付いている。強い眼差し。だけどその目に危機感が見られないのは不思議だった。
「もう私だって十分関係しているわ。だから、最後まで一緒にいる」
真鈴……ありがとう。
その時やっと気付いた。
「そう、それにもう本当に逃げられない。ここからは抜け出せないの」
僕らの周りには巨大な人の壁が出来上がっていた。
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