同じ空の下で

絶望

僕は目を閉じた。そして開いた。だけど現実はまだそこにいた。もう、この状況からは逃げられない。僕は真鈴の側へ歩み寄り、その手を握った。僕は自分でも不思議なくらいの、恐怖感の中にいた。貴田先生に捕まればどうなるか、なんて何ひとつ判らなかったけれど、とにかく恐かった。
「谷口祐希。あなたは特殊な能力を持つ人間です。さぁ、話しなさい。どうすればその能力を引き出せるのかを」
何故僕が能力に目覚めたことを知っているんだ。この人はもう、なにもかもを知り尽くしているような気がした。とても敵う相手じゃない。
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