同じ空の下で
「真鈴? よかった……大丈夫?」
それでも真鈴の目は光を失い、生きた人間のそれには見えなかった。ただ、僕の手を握る強さだけが異常に強かった。
「どういうことだ……?」
「あなたのたったひとつの希望。それが真鈴。そもそも、この旅の最初からあなたには彼女がいた。……おかしいと思わなかったの? 何故、真鈴があなたの味方をするのか。……思わなかったでしょうね。そう設定したんだから」
……嘘だ! 嘘だ! 嘘だ! 真鈴は……嘘だろ? なぁ、真鈴?
真鈴は何も言わず、僕の手をただ強く握っている。それが今の真鈴に出来ることの全てだと言うように。そしてそこからは、今まで感じたような温もりや安心感は微塵も伝わらなかった。
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