同じ空の下で

少女

流れ出して来たのは軽いアコギの音、そしてパーカッション。唄っていたのは男だった。どこかで聞いたことのあるような……そんな声だった。
CDは一曲を流すと停止した。それだけしか入っていないようだった。僕はもう一度、再生した。
片思いの恋を歌ったものだろう。切ない気持ちが込められた歌詞だった。だけど何度聞いてみたって、そこからは何かを思い出すことが出来なかった。

不意に僕のブランコが揺れ始めた。誰かが真後ろから押していた。歌に夢中になっていて、すっかり気付かなかった。僕はイヤホンを外し、振り向いた。
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