同じ空の下で

とりあえず僕は、近くのベンチに腰掛ける。足の裏がじんじんと痛い。
一人になると、なぜか急に寂しい気持ちになった。真鈴はどこにいるのだろう。暮れ始めた空を見上げて、どこかで真鈴もこの空を見ているのだろうかと思った。
僕は鞄からCDウォークマンを取り出す。イヤホンを付け、PLAYボタンを押す。流れ出すメロディ。僕の歌。うっすらとした記憶の譜面を辿り、僕は口ずさんでみる。あぁ、確かに僕の歌だ。
頭の中だけに浮かぶステージ。客は誰もいない。だけどそれでもいい。僕は唄う。
「祐希くん」
その時、声が聞こえる。僕はステージから降りる。
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