二藍蝶
貴方は、空を見上げる。

「こうなったら
 待つしかねえか?」

「何を、待つの?」

「アイ、お前が
 親父さんへの想いに
 けりを付ける日を
 俺、待つわ」

驚く私を、貴方はその腕に
抱き寄せる。

「カイリ?」

「これぐらいは、何時間も
 待ってた俺への
 ご褒美に許してよ?」

この時、貴方の腕に
優しく、抱き締められて
私、心から嬉しいと
想ったよ。

ここは、今の時間
家へと帰宅する人々で
賑わう、駅の改札口。
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