二藍蝶
「アイ、おかえりなさい」

「アイちゃん、遅い」

「ごめん、ごめん」

私は一度、部屋に戻る。

荷物から携帯電話を
取り出すと、ママからの
メールと電話が数回
履歴に残っていた。

私は、浬に電話を掛けようと
右手を見つめた。

「アイちゃん、ご飯の用意
 できたよ、早く早く」

部屋まで、私を呼びに
来たのは、妹のチグサ。

「うん
 ちょっとだけ待って」

私は妹の手前、電話で
貴方と話す事を恥ずかしく
思えて

アルファベットを一文字ずつ
確認しながら、貴方のアドレス
を宛先に、直接入力する。

『・・・@・・・.ne.jp』
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