二藍蝶
通話の切れた携帯電話を
手に持つ、藍の母・秘色

「ヒイロ?」

「アイ、帰って来ないって
 
 あの子は私の元へは
 戻って来ない」

「アイがそう言ったのか?」

涙を流して頷く、秘色。

「でも、言われて当然だよね
 私は、アイを捨てた・・・」

芳野は、秘色を抱き寄せて
その腕に力強く、抱く。

「捨てたなんて言うなよ」

私は、遠い昔・・・

藍を捨てて、芳野を選んだ。

『ヨシノ・・・

 死ぬほど、好きなの』

「今度は、私がアイに
 捨てられちゃったね」

「ヒイロ、それは違う
 
 アイが、ここへ戻って
 来れないのは、お前が
 原因じゃない

 本当の理由は
 アイツは・・・
 俺に、惚れてるんだ」

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