1週間目の放課後、僕は音楽室にスーザンを呼んだ。

数日後にはシニア・スクールの卒業を控え、義務教育が終わろうとしていた。


「突然すいません。是非あなたにこの曲を聴いてもらいたいんです」
 
もちろん僕が本当に聴いてもらいたかったのはエミリーだ。

きっとスーザンもそれが分かっていたと思う。

彼女は頷くとピアノの傍まで椅子を運び腰掛けた。


「まだとても人に聴かせられるような演奏じゃないんだけど・・・」
 
僕はそう言うと演奏を始めた。

僕はエミリーのために心を込めて一生懸命弾いた。

この曲がエミリーに届くことを願った。

きっと誰かのためにピアノを弾くことなんて今後二度とないだろう。

いつかエミリーはピアノを弾いていると、世界中を旅している気分になると言っていた。

でも僕が行きたい場所は、世界中でただ一つエミリーの元だった。

エミリーともう一度話したかった。

謝りたかった。

そして何よりもこの言葉を伝えたかった。



〈ありがとう、エミリー。あなたに会えてよかった〉
 


演奏が終わるとスーザンは立ち上がり拍手してくれた。


「いい演奏だったわ、マーク」
 

僕は思わずもう一度泣き出しそうになった。


でももう泣かなかった。





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