揺らぐ幻影
「適当な奴ならお姉ちゃんが殺しに来るって伝えといてよ?」
今度は意味が伝わったらしく、真っ赤な顔は沸騰したみたいに熱そうで笑える。
動揺を全面的に出すからからかうのが面白い。
からかうのがやめられない。
妹をからかうのは姉の特権だった。
けれど、もう結衣をからかうのは姉の私ではなく、彼氏の洋平くんの役目になるのだろう。
「もうっ」と怒る声に負の感情はなく、彼氏の前ではより一層嬉しそうに笑っているのだろう。
そうして、いつまでも子供だと思っていたけれど、いつの日か知らない間に大人になっているのだろう。
爆笑する可愛らしさは、柔らかに微笑む美しさへと変わっているのだろう。