一なる騎士
「入ってくるな」

「え?」

 いきなり言われた言葉に驚いたサーナに気づいてか、アディリは言葉を重ねた。

「ここから先は立ち入り禁止ってこと」

「あ、あの」

 それだけではサーナにはちっともわからない。
 しかし、アディリはそれ以上詳しく説明する気はないようだった。
 どこか投げやりに言い放つ。

「私はあなたの先生じゃない。とにかくここには精霊たちは立ち入れないってこと」

 これで話はおしまいとでも言いたげな風情だったが、サーナはあきらめずに食い下がった。

「それは、それはわかっているわ。でも、そう、たとえば遠い場所で起こっていることがわかったりするものかしら? 精霊を使わなくても」

 アディリは首をかしげ、自分のお下げの片方を引っ張った。

「そうね、不可能ではない。ここは確かに精霊は締め出せるけれど、<気>の流れは締めだせるわけではないから」

「それは一体どういう?」


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