年下の君に恋をして
金曜日の夜。

昼間は会社のみんなに別れのご挨拶をして、送別会は辞退したものの、心身共に疲れきってアパートに帰ると、翔が来ていた。


「ただいま…」

「お帰り!」

何日かぶりに見る翔は、本当に可愛いと思った。
この間のように、翔に駆け寄って抱き着きたい気持ちを、私は必死に抑えた。

「どうして来たの? 今週は忙しいって言ったのに…」

私はわざと冷たい言い方をして、テーブルの上にバッグをドサッと置き、コップに水を注いでゴクっと飲んだ。

内心、『これじゃ夜のお仕事の女の人みたいだな』と思いながら。

「有紀子」

「何?」

「少しやつれたんじゃないか?」

「そう? 今週は本当に忙しかったのよ」

「明日は休みだし、今夜は泊まっていいかな?」
< 120 / 178 >

この作品をシェア

pagetop