年下の君に恋をして
「晩ご飯の買い物、どうしましょう?」

「車で隣町まで行けば大丈夫よ、お母さん。まさかパパラッチはいないでしょうから」

「そうか。そうね?」

などと母と美穂が話し合っていると、

「有紀子さんの人気はすごいんですね?」

と、呑気な感じで翔が言った。ちょっと嬉しそうに。

「そんな事は……」

「それだけじゃないの」

私が否定する間もなく、美穂は続けた。早口で、興奮気味に。

「相手が超イケメンって事で、女子はそっちで騒いでるのよ。確かに翔君は格好いいわあ。私の想像以上だわ…」

美穂はそう言うと、翔を見つめてまた頬を赤くしていた。


「あの……変な事になっちゃって申し訳ないんですが、有紀子さんとの結婚を認めてください。お願いします」

翔が父と母に深々と頭を下げたので、私も一緒に頭を下げた。すると、

「私達はむしろお願いしたいくらいだけど。ね、父さん?」

と母は事もなげに言い、

「まあな」

と、父も言ったのだけど……

「翔君の家が問題なんじゃないの?」

意外にも美穂が鋭く指摘した。私ももちろん同感だけど。

「父しかいないんですが、説得します。父は有紀子さんに面識があって、今日の事も承知ですから、たぶん大丈夫です」

「しかし、生活費はどうするんだ?」

父がもっともな事を言った。
もし翔が、高校を卒業したら働くとか言ったら、私は反対するつもりだったけど……
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