年下の君に恋をして
本当の俺はどんな奴なんだろうって、真剣に悩んだよ。おかしいだろ?

俺は家に嘘をついて、夜中まで外をぶらつくようになった。『自分探し』のつもりで。

そしてこの間のオサムやトシヤみたいな連中とつるむようになったんだ。

新鮮だったよ。今の喋り方は奴らの影響なんだ。
でも違ったんだ。奴らみたいにはなれないんだ。人を傷つけてまで快楽に走るような事、俺には出来ない。

そんな時、有紀子に会ったんだよ。最悪な出会い方だったけどな。
有紀子といる俺は、自然体だった。いい子ぶるでもなく、悪ぶるでもない。自然な俺だった。

やっと、自分探しが出来たと思った」

「まだ演技を続けるの?」

「いや、もう止めるよ。急だとみんな驚くから、徐々にね」

「それがいいと思うわ」

「学校の俺を見たら驚くぞ。まるで別人だから」

「見てみたいかも…」
< 56 / 178 >

この作品をシェア

pagetop