空と海の真ん中で
「まぁ、そりゃそうか、あんたと同じ立場で
そんな回りくどい言い方されたら
あたしだって解んないわ」

そういって彼女はケラケラと笑って
自分で頼んだケーキを口にした。
そんな彼女の様子を見た私も苦く笑いコーヒーを飲む

確かに
彼の言葉は回りくどかったかもしれない
でも
私の名前と彼の名前
彼の表情
それらを全て踏まえて考えれば
おのずと答えは出てくるはずだった。

「なのに、図書館やパソコンで真面目に調べてた私はなんなのよ」
「ん?なんか言った?」
「別に、何も」

彼女の言葉にそっけなく答え
私は窓の外に目をやった。

窓の外に見えた姿
忘れるはずがない
忘れられるわけがない
あの日から五年たっていたとしても
彼を見間違えるわけがない

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