空と海の真ん中で
それから私達は近くにあった公園に入って
空いていたベンチに腰を下ろした。

「本当に久しぶりだね、どうしたの今日は?」
「えっと、あの・・・その・・」

言葉をつまらせた

もし、彼があの言葉を忘れていたらどうする?
あの日から五年もたっているんだ
覚えている方が不思議なのかもしれない
さっきまでの勢いはどこへいってしまったんだろう
答えを見つけて四年間
ただ返事をしたくて したくて・・・
ずっとこの人を探していた。

なのに
今は少しだけ想いを伝えるのが怖い

「どうしたの?阪木さん」
「あ、ううん、何でも・・・なんでもないよ」

大きく首を横に振ると
彼は不思議そうな顔で私を見ていた。

うぅ・・・
さっきは全然変わってないって思っちゃったけど
よく見れば
背も伸びてるし
顔つきだって大人になってる
ま、あれから五年もたってるんだし、当たり前か・・・

「阪木さん、あの頃から変わらないね」
「え、そうかな?」
「うん、変わったけど変わってない
俺が見ていた頃から何一つ」

彼は愛しい昔を思い出すように瞳を閉じた。
そんな彼の姿に私は見惚れてしまう。

ねぇ、貴方に今、好きな人はいますか?
あの質問を覚えていますか?

聞きたいことは山ほどあった
伝えたい想いも
でも、聞く勇気も伝える勇気もいまの私にはなかった。
それならせめて・・・――

< 4 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop