甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
しばらくして、トレーを持った征一さんがリビングに来た。

トレーに載せられたふたつのマグカップからは、コーヒーのいい香りがした。
コーヒーは二人の共通の好物なの。

「裕子はコーヒーを飲むと、眠れなくなるタイプか?」

「ううん、全然大丈夫だよ」

「そっか、良かった。俺も全然オーケー。むしろ眠れない時、コーヒー飲むと眠れたりするんだ」

「それはまた、極端ね?」

私のマグカップはピンクで、トラの猫ちゃんがプリントされていた。
前回のと、違うよね?

「このマグカップ、可愛い!」

「そうか?」

それと、ポーションタイプのミルクと、スティックのシュガーを置いてくれた。

これらも前回は無かったもの。だって、ブラックでしか飲まない征一さんには、必要ないから。

みんな私のために、用意してくれたんだよね?

「ありがとう」

嬉し過ぎて、泣いちゃいそう…

「いけねえ、スプーン忘れた。取って来るな」

泣くタイミングは外されたけどね。
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