甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
唇に柔らかな何かが触れる感触がして、私はゆっくりと目を開いた。

目の前に、ぼんやり見える誰かの顔。
父親や弟とは違う男性の顔。
でも私はこの人を知っている。
この人は、私の心を掻き乱す人。
この人は、私が一番好きな人。
この人の名は…

「征一さん…?」

「おはよう。と言っても、まだ寝ぼけてるようだな」

「え? あ、ごめんなさい!」

気付けば、私は征一さんの顔を両手で挟み込んでいた。

慌てて横を向き、掛け布団を頭の先まで引っ張り上げた。

「朝食が出来たから、ダイニングにおいで」

「はい」

布団の中から返事をした。

恥ずかしい事しちゃったなあ。それに、しっかり寝起きの顔を見られたよね?

めちゃくちゃ恥ずかしいよ…
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