甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
「姉貴…」

いつになく真剣な顔をした匠。

「なあに?」

「『なあに』じゃねえよ。夕べはアイツのとこに泊まったのかよ?」

「え? ん…まあね」

匠には征一さんと出掛けるところを見られてるから、嘘はつけない。

「信じらんねえよ、姉貴がそんな事するなんて…」

「ごめんなさい」

父親に叱られてる気分。弟のくせに。自分は夜遊びしてるくせに…

「姉貴はアイツの事、好きなのか?」

「うん、もちろん」

「アイツは?」

「ん…たぶん」

「『たぶん』って何だよ?」

「だって、はっきり『好き』って言われてないんだもん。そう言えば私も言ってないかも。エヘヘ」

「アイツはどんな奴なんだよ? ヤバい奴じゃねえのか?」

「彼は会社の先輩で、いわゆるエリート? 匠が想像するような人じゃないよ」

「あんな目つきの悪い奴が、サラリーマンなんて信じらんねえ」

「だって本当なんだもん。目が恐いのは確かだけど、わけあって匠のこと睨んだから、余計にそう思ったんじゃない?」

「わけ?」

「匠を私の彼氏だと誤解してたから…」

「ずっと誤解させときゃよかったのに」
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