甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
「今日は何処へ連れていってくれるの?」

「俺の実家」

「へ?」

「急に言われたら驚くよな?」

「う、うん。本気なの? それとも冗談?」

「もちろん本気だよ。正直なところ、裕子を連れていく予定じゃなかったんだが、偶然にも泊まってくれたから、ちょうどよかったかなと…」

「あの………」

「ん?」

征一さんが御曹子だと知ってしまった事を、このタイミングで告げるのがベストだと思った。

でも征一さんの反応が恐い。
征一さんが御曹子だから好きになったと思われたくない。

あるいは征一さんの財産目当てとは、絶対に思われたくない。

それならいっそ、知らなかったふりをすべきかもしれない。

でも、嘘はいやだ。その自信がないし、うまく出来たとしても、この先ずっと心にわだかまりが残ると思う。

『どうしよう。征一さんに嫌われちゃう…
どうして征一さんは御曹子なの?
そんな事少しも望んでいないのに。普通に恋をしたいだけなのに…』

いつのまにか涙が、とめどなく頬を伝わり落ちていた
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