甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
「父さん、婚約は破棄していいんですね?」

「もちろんだ。麗子さん、こういう訳で、申し訳ないのですが、婚約は破棄させてください。
ご両親には改めてお詫びに上がります」

お父様は立ち上がり、麗子さんに深々と頭を下げた。征一さんも、お父様に合わせるように、頭を下げていた。

すると、今まで全く表情のなかった麗子さんの顔に変化が現れた。

それは見る見る笑顔となり、可憐な乙女のような表情に変わった。

そして同じく微笑む修二さんと見つめ合い…って、どうして?

「父さん」

「なんだ、修二?」

「高島の家に、おれも行かせてください」

「なぜだ?」

「おれと麗子さんは、愛し合っています」

「………」

私達は絶句し、修二さんと麗子さんを交互に見た。
二人とも幸せそうに微笑んでいる。特に麗子さんはさっきまでとはまるで別人のように、綺麗で可愛い表情をしている。

私は呆然とする征一さんの背中を叩いた。

「なんで見取れてるのよ!」

「いや、俺は別に…」

悔しいけど、許してあげる。今の麗子さんは私が見てもチャーミングだから。

恋をすると女は綺麗になるって、本当なんだなあ。私は例外だけど。
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