氷の女神
「本当に感情がないんでしょうか?」

「まさか。そんなはずないだろ?」

「ですよね? よかった」

「おまえもその内分かるようになるが、彼女のちょっとした動作や目の動きに、彼女の感情が出てるよ」

「ああ、それは何となく分かる気がします」

「そうか? なかなかやるじゃないか。それが分かるのは、俺達開発課の人間と、業務課の北野主任ぐらいだろう」

「その人は恋人ですか?」

「はあ? 違うよ。彼女の同期でおそらく唯一の友達、北野葉子女史だ」

「そうですか」

ホッとしたのもつかの間だった。
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