氷の女神
綾乃さんの唇は、柔らかくて、暖かかった。

触れるだけのキスをして、俺達は見つめ合った。

「大丈夫だった?」

綾乃さんは、はにかみながら頷いた。

「初めてなの?」

「うん。里中君は?」

「僕も初めて」

「嘘ばっかり!」

「あはは、ごめん。でも、キスでこんなにドキドキしたのは、初めてです。

綾乃さん、好きです」

「………私も」

「綾乃さん…」



「きゃっ」

「うわぁ!」

思わず綾乃さんを抱きしめようとしたら、綾乃さんのおかゆと、俺のコンビニ弁当をひっくり返してしまった。

「里中君たら…」

「すみません」

せっかくいいところだったのに、台無しだあ!
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