氷の女神
昼間、何度か綾乃さんにメールをし、綾乃さんが快方に向かっている事は分かっていた。

それなら、帰りに寄る必然はないんじゃないか、という考えはこの際無視をし、定時で会社を出た俺は、真っすぐ綾乃さんのマンションへ行った。

「ただいま〜」

「お帰りなさい」

「綾乃さん、熱ぶりかえしたの? 顔が赤いよ」

「これは違うの。分かってるくせに…」

「あ、綾乃さん、照れてるの? 可愛いなあ」

「きゃ」

俺は綾乃さんをギュッと抱きしめた。

「お帰りのチュウして」

「いや」

「お願いします」

「目つぶってくれなきゃ、いや」

「じゃあ、はい」

チュッ

ああ、幸せだなあ…
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