ボーダー

好き…?

入学式で、新入生代表の挨拶をレンが言っていた。
堂々としていて、凛々しくて、カッコ良かったなぁ。
これで、レンに惚れた女子、絶対何人かいるでしょ。
私たち3人は見事に同じクラス。

友達も結構出来た。

その中の1人、篠原 愛実《しのはら まなみ》。

由紀と同じ小学校だったらしく、彼女をよく知ってる。
由紀の1番の親友、と豪語している。
165cmある身長だが、足が長いため、それ以上に見える。

他にもボブヘアが特徴の、私より背が高い、身長170cmはある女の子、矢浪 友佳《やなみ ゆか》。

もう1人。
添島 麻紀《そえじま まき》。

有海と同じピアノ教室に今も通っており、ピアノもある程度弾ける。ピアノだけでなく、料理もとても得意な女の子だ。
身長は私と同じくらいの157cmある。

この3人も友達になった。

ちなみに担任は、数学担当の柿崎先生。
少し後退しかかっている髪が悩みだというが、優しい先生だ。

生徒の話に、しっかり耳を傾けてくれる。

高校といえば部活だ。
私は、合唱部と英語部を兼部。
ハナが英語が得意だったとはな、と言いながらレンも入ってくれた。
レンはアメリカにいたのだ。心強い。
ハナとレンがいるなら、とミツも英語部に入った。

「お前らだけにすると、隙を見てハナが襲われちゃたまらん。」

ということらしいが、なんのこっちゃ。

レンなんて、英語部と茶華道部と放送部を兼部してる。

……すごいなぁ。

入学して1週間が経った日、
愛野ふれあい村というところで宿泊オリエンテーションが行われた。

その班決めは、既に終えている。
愛実、友佳、麻紀、レン、ミツ。
いつものメンバーだ。

「華恵ちゃん、よろしくね!
何なら、夜にアドバイスするよ?
三角関係なんでしょ?
あの、いつも一緒にいる男の子たちと!」

愛実は小声で言ってくれる辺り、気遣いが出来ていい子だ。

"宿泊オリエンテーション"

なんて名前だから、中学生の時に通った塾のサマーキャンプのサバオリみたいなことして遊ぶのかなあ、と勝手に思っていた。
全然そんなことなかった!

実際は学校の規則についての話を延々と聞くだけ。
皆退屈していて、眠っている者もいた。
寝ている人たちは、学年主任にこっぴどく怒られたけど。

でも、1つだけアクティビティーがあった。

……自分の夢。

それをグループの人に発表して、夢を実現させるにはどうしたらいいか、話し合うの。

ミツは、
案の定、"検事"。
なぁんだ。お兄さんと一緒か。
……つまんないの。

ただ、レンに至っては……

『日本と世界を股にかける俳優、だけではなくてタレントになる!』

だそう。

自意識過剰もいいところだ。

あの、芸能事務所に入るあてはあるの?

オーディションも激戦だ。

まあ、顔が整っていてイケメンだから、入れることは入れるだろうけど。

実際、レンは学校でもいつも皆にちやほやされてる。
同学年の女子だけではなくて、先輩からも人気があるようだ。

実際にその光景は何回も見たし、ラブレターの類も大量にもらっているよう。

その度に、またかって、思うだけだったのに。

レンと一緒にいるミツまでちやほやされてるのを見ると、その光景を見るのが嫌で、外の風景を見るフリをして目を逸らしてる。

私以外の女の子と、あまり仲良さげにしないでほしい。
ミツの瞳に映るのは、私だけでいい。

何なんだろ。
この気持ち。

こういうとき、中学のときの親友、由紀が居てくれたら、と思う。
心理学講座、してくれたかな。
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