素敵すぎる上司
私は恥ずかしくて、俯きながら檀上に上がると、拓哉さんに顔を上げさせられた。


正面を向くとスポットライトが眩しいので、横の拓哉さんに顔を向けた。


拓哉さんを見ていると、大勢の人達の前にいる事を忘れそうになった。そして、拓哉さんへの愛しさが、徐々に込み上げてきた。


「佳奈子、俺と結婚してくれ」


拓哉さんが私にマイクを向けた。


「私でいいの?」


「おまえが、いいんだ。結婚してくれるな?」


「……はい」


会場中に、割れんばかりの拍手が起きた。


それが落ち着くと、拓哉さんは最前列に座っているお母様に向かった。


「お袋さん。いいよな?」


会場がまたシーンとした。

お母様は気難しい顔をしている。なんか、すごくドキドキする。


「好きにしなさい」


再び拍手が鳴り響いた。

良かった……

< 210 / 217 >

この作品をシェア

pagetop