素敵すぎる上司
「香取さん」


「ん?」


「これから家に来てくれませんか? 部屋を見てほしいんです」


「部屋ねえ。どうしようかなあ」


「よろしかったら、晩ご飯も食べてほしいんですけど」


「え、ご飯? 行く行く。行かせてください」


香取さんったら、ご飯の事を言ったら急に態度が変わったわ……


「そんなに期待しないでください。妹が作るご飯ですから、大したものじゃないので、たぶん」


「いやいや、家庭料理でしょ? 正直、俺の憧れなんだよな……」


「まさか、家庭料理を食べた事ないんですか?」


「ん……何回かはあるよ。学生の頃に友人の家で」


「香取さんは一人暮らしですよね?」


「そうだけど?」


「いつも外食ですか?」


「そうだね」


「実家に帰れば家庭料理は食べられるでしょ?」


「いや、料理人が作るから、外食とあまり変わらないよ」


そうなんだ……


「妹さんが作ってくれてんだ?」


「はい。私がバイトを辞めたから、もういいよって言ったんですが、いいからって言ってくれて……」


「そっか、いい妹さんだね?」

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