俺様と奏でるハーモニー


6時半になった。


部活を終えて、帰宅する。


家に着いたところで、携帯が鳴った。


相手は当然ながら……


『由奈、今から迎えに行く。楽譜忘れるなよ』


それだけ言って、すぐ切れてしまった。


さすがにスーツで行くのも変なので、一応着替えた。


ジーンズにシャツワンピ。


極力狼を刺激しないように、防御力を高めたつもりなんだけど。


仕事用のカバンから、楽譜の入ったファイルを出して、『春の海』のピアノ譜だけ1セット抜き取った。


職員室でコピーしといたから、今度から修さんの家にこの楽譜を置かせてもらおうっと。


窓から駐車場を覗いたら、修さんの車が見えた。


急いで向かう私は、ドキドキしていた。


運動不足のせい……じゃないわね、これは。

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