俺様と奏でるハーモニー


買ったばかりの指輪が入った紙袋を持って、修さんが前を歩く。


どんどん、ずんずん、進んでいくからついていくのに必死。


たまにちらっと後ろを振り返って、私がいることを確認する程度。


立体駐車場に置いてある、オデッセイに乗るまでそんな感じだったわ。


確かに、例の飲み会があるから急がなきゃならないのは解るけど……。



助手席に座って、ふぅっとため息をついたわ。


ちょっと、疲れちゃった。


運転席に座った修さんが、紙袋から白いビロードのケースを取り出した。


中から指輪を取り出して、ケースを紙袋の中にしまう。


そして、体を乗り出して私の左手を掴む。


薬指にそっとはめられる指輪。


そして……。


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