俺様と奏でるハーモニー


「実は、さっき城田先生からそれとな〜く事情を聞いてね。

ほら、印鑑もペンも持ってきたから、署名しますよ。

それにしても、嬉しいですね〜。

私が校長になってから、記念すべき7組目のカップル誕生ですよ!」



……拍子抜けするほど、あっさりと話がすすんでるのは、やっぱりお局様のお力添えがあればこそよね。


しかも、校長になってから7組目って、すごくない!?


顔を見合わせる私と修さんを見た校長先生が、おもむろに立ち上がって、ピアノの前へ。



「お二人のために、演奏しましょう」



ピアノの椅子に座り、校長先生が突然弾き始めたのは……。


メンデルスゾーンの『結婚行進曲』だった。


ちょっとぎこちない、ピアノのメロディ。


校長先生は音楽科の教員だけれど、専門はトランペットだったって聞いている。


教員になってからも、必死にピアノを練習したって。


でも、校長先生の心のこもったピアノの演奏は、どんな名演奏より嬉しかった。

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