俺様と奏でるハーモニー
「あれ、由奈は飲まないのか?」
「うん……ちょっと、具合が悪いの」
いい言葉が思い浮かばなくて、とっさに出たのがそれだった。
「……もしかしたら、妊娠してる?」
私の顔を見て、それから手をおなかに当てた。
修さん、どうしてそんなに鋭いの?
もう、修さんに隠し事なんて無理。
静かにこくりと頷いたら、まるでこわれものを触るように、そおっと優しく包み込まれた。
「嬉しい。でもまだ、不安定な時期なんだろ?
体、大事にしろよ」
この私がお母さんになるなんて、まだ信じられないけれど、修さんがいいお父さんになるのは多分間違いないわ。
大事に育てるから、是非、我が家の新しいメンバーになってちょうだいね。
おなかの中に、はじめてそっと語りかけた。