俺様と奏でるハーモニー
妊娠中の仕事がこんなに大変だとは思わなかった。
早くから妊娠したことをオープンにしたのは、つわりがあまりにも酷かったから。
自動車通勤でこれだけ辛いんだもの、電車の人達は本当に大変だろうと思ったわ。
それでも、11月の研究授業は修さんに助けてもらいながら頑張った。
日本の伝統文化と音楽を一緒に学ぶ展開。
修さんには尺八を吹いてもらって、尺八の音階と普段聴いている音階の違いを学びつつ、和楽器に親しむことを目的とした授業。
修さんがいなかったら、成り立たない授業だったわね。
生徒にはさんざん冷やかされながら、修さんのクラスを使った研究授業は高い評価を得られたわ。
これで、校長先生は満足したみたい。
人事調書、私は一応対象者なので出さなくちゃならないんだけれど、備考欄に『妊娠中』ということを書いたので、対象から外れるだろうと言われたわ。
城田先生の言ったとおりになったし、修さんが七夕のあの日、言ったとおりになった。
私達の子どもは、本当に時期も選んで来てくれたのね。