俺様と奏でるハーモニー


妊娠中の仕事がこんなに大変だとは思わなかった。


早くから妊娠したことをオープンにしたのは、つわりがあまりにも酷かったから。


自動車通勤でこれだけ辛いんだもの、電車の人達は本当に大変だろうと思ったわ。


それでも、11月の研究授業は修さんに助けてもらいながら頑張った。


日本の伝統文化と音楽を一緒に学ぶ展開。


修さんには尺八を吹いてもらって、尺八の音階と普段聴いている音階の違いを学びつつ、和楽器に親しむことを目的とした授業。


修さんがいなかったら、成り立たない授業だったわね。


生徒にはさんざん冷やかされながら、修さんのクラスを使った研究授業は高い評価を得られたわ。


これで、校長先生は満足したみたい。



人事調書、私は一応対象者なので出さなくちゃならないんだけれど、備考欄に『妊娠中』ということを書いたので、対象から外れるだろうと言われたわ。


城田先生の言ったとおりになったし、修さんが七夕のあの日、言ったとおりになった。


私達の子どもは、本当に時期も選んで来てくれたのね。

< 210 / 215 >

この作品をシェア

pagetop