俺様と奏でるハーモニー


「ふうん。ってことは、大学時代の彼氏か。

何で別れたんだ?」


うわ、いきなり直球で来たわね。


でもまあ、いいや。私が悪くて別れた訳じゃないし。


「私だけ採用試験に受かって、彼は落ちたんです。

やっぱり、同じ都道府県、同じ科目で受けると彼氏というよりライバルになっちゃって。

彼、実技は私よりできたんですけど、ペーパーの一次試験で落ちて、それからうまくいかなくなって私から別れました」


「……よくある話だな。

大抵、一緒に採用試験を受けると、彼女のほうが先に受かるんだよな。

女のほうがこつこつ勉強するし、男ほどイロイロと悩まされないからなんだろうか?

それで、その後は?」


「北海道に帰ってきて、うちの学校で毎日7時過ぎまで働いて、土日も吹奏楽で。

夜明けのコーヒーなんて、評価や指導要録で徹夜した時に一人で飲むだけですよ」


……自分で暴露しといてなんだけど、私って寂しい女、よねぇ。


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