霊務3
「託された願い-2」







一呼吸気を落ち着かせ、
少し休む間もなく
大男はピクリと動いた。









「――!」










………










特に何もない方向を
じっと見つめている。










「あの………」










里子が心配し、
声を掛けようとすると
大男はこちらに近付いた。










「…娘よ。
頼みがある。

この現状を見て、
他の警護霊がいないのは
すぐに分かった。

こんな大役を任せるのは
戸惑うと思うが、
数少ない霊だから
お前さんしかいないと
理解していただきたい。


――ワシの代わりに
選択の間を守ってくれ」










「え…?」










急に頼まれた事。









突然の事で、
それに対し
何て答えていいか
分からない。










「いいから、
頼んだぞ。

早く行ってくれ」










背中を押され、
半ば強制的に頼まれた。










仕方なく
選択の間の行き先を聞き、

考える暇もなく、
里子は指定された場所に
向かって行った
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