霊務3
【初仕事の始まり-9】






どういうこと…?







里子がオロオロしてると、
仲間達は
あーあと言った感じで
見ている。









「ほら…
だからそんな画質の
いいヤツじゃ
傷がバレるよって
言ったじゃないか。

アイツ…
馬鹿が付くぐらい
自分の車を
愛してるから」









(え…?え…?)









「そうそう。
ほら見て見ろよ。

今まで
気付かなかったけど、
画像で見ると
傷が露わだろ?

ただ小石が数粒
当たった程度の
かすり傷だけど」









「いや、
俺も自分のデジカメみて
すぐヤバいと思ったよ。

まさかこんな傷が
ハッキリ見えるとは…」









その話を全部聞くと、
ようやく里子は理解した。








みんな、
自分の存在に
全く気付いていない事を。








写真には間違いなく
後ろの方に
里子が写っていたが、

微か過ぎて誰もそこに
注目しなかった。









(そ、そんな…)









ガックシとしてる中、
まだ男は泣いている。









「うおおぉぉぉぉ!!

エンドルフィ-ン!!
エンドルフィ-ン!!」









何だよ
エンドルフィンって。


車に名前を
付けているのか?



どんな名前だよ。









なんにせよキモい。








そんな事も
思わないくらい
里子はショックを
受けている。








せっかく
成功したと思ったのに
全くのお門違い
だったからであろう
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