僕はいつでもキミの傍に
30 近藤 健一

コツコツと靴がコンクリートの地面を叩く音が反響する。

薄暗い寂れた廃ビルの中は荒れ果て、空気すらも淀んでいる気がした。

……こんな所にノコノコ来るなんて、なんと馬鹿なんだろうか。

心の中でそんな事を思いながら少し自嘲気味に笑うと、ガラスの嵌められていない窓からそっと空を見上げた。

漆黒の空には少し欠けた月が悲しそうに揺らぎ、それは俺の心を酷くざわめかせる。
< 130 / 289 >

この作品をシェア

pagetop