僕はいつでもキミの傍に
「……それでさぁ、アイツ犬抱きながら腰砕けになってんの。『なんか力が抜ける~』とか言ってさ。馬鹿だろ?」
彼はそう言って饒舌に自分の息子の話を続ける。
……正直、ウザい。
初めて彼に声を掛けられたあの日から、彼は度々『僕』の目の前に現れる様になった。
しかも何をするのかと思えば、くだらない長話に花を咲かせるだけで、瑞穂や……『僕』の事には一切触れる事はなかった。
あの日、彼の口にした言葉につい感情的になってしまい、自分からボロボロと失態を晒す羽目になってしまった。
……彼は勘の鋭い男だと思う。
いつもヘラヘラ笑いながらも、こっそりと僕の動きを窺っているのが分かる。