僕はいつでもキミの傍に

「これで……いいのか?」

後ろから聞こえた声にそっと顔を上げると、洗面台の鏡に……黒い喪服に身を包んだ少年の姿が見える。

今の私には……この少年が誰なのか思い出す事が出来た。

「鈴村……誠」

小さく彼の名を呼ぶと、彼は悲しそうに笑って小さく頷いた。

そう……八年前の雨の日……レンは鈴村総一郎の葬儀をこっそり見に行っていた。

前に見た不思議な夢。

あれはレンの記憶。

葬儀で父の死を嘆く悲しい少年の姿を……レンは涙を流して見つめていた。
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