僕はいつでもキミの傍に

「……ただいま~。アイス買ってきたよ。一緒に食べよう」

そう言って彼がコンビニの小さなビニール袋を掲げて笑った。

部屋に置いてある黒いローテーブルに、少し高級な事で有名なストロベリーアイスが置かれる。

……私の大好物だ。

「いただきます」

そう言って彼に笑みを返すと彼は嬉しそうに笑った。

彼の優しい気遣いに感謝しながら、モソモソとアイスを食べ始める。

ストロベリーの甘ったるい味が口に広がると、ほんの少しだけ心が軽くなった気がした。

最近、暑いせいか事件のせいか分らなかったが食欲が無く、いつもアイスやお菓子ばっかり食べている気がする。

そのせいで食欲がない割には、体重は減っていない。

……嬉しいやら悲しいやら。

そんな下らない事を考えている自分に気付き、急に可笑しくなってきた。

……ちょっとは調子が戻ってきたのかな。

ニヤニヤとアイスを食べる私を、彼が不思議そうに眺めている。

その時、急に明るい電子音が響いた。

……メールの着信音。

テーブルの上に置きっぱなしの携帯を手にすると、小さな液晶に綾子と文字が映っている。
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