愛図~言葉なんていらない~
「あたしのこと、好き?」
ピタッと撫でてくれてた手が止まる。
彼は告白のとき以来、好きって言ったことがない。
この1年、ケンカもすることなく穏やかな幸せな時間を過ごしてきた。
隣にいれば、それだけで幸せだし。
でも、時々聞いてみたくなるんだ。
「東條くん」
「なんだよ?」
「こっち見て?」
肩から顔を上げ、彼の頬に触れこっちに向けた。
ぷにぷに頬を触る。
「実夏、何して……」
「笑って?」
優しい笑顔を見せて。
それだけで、あたしの心は満たされるから。