Phantom Thiefs
+影虎+
ふと視線を感じて影虎は振り返って周囲を見回した。
そこには、月をバックに佇んでいるひとりの男がいた。
だれ? あれ…。
影虎は柳眉を寄せた。
こんな夜遅くに出歩く人間はまずいない。
……まあ、報道の人間だとか、警察関係なら出歩くだろうが。
しかしその男は、そういう気配がしない。
寧ろ、同業者のような……。
そこで影虎は気がついた。
彼は―――……、
「【怪盗・月詠】さん、か」
今宵、影虎と同じものを盗むという、日本屈指の大怪盗。
影虎は、唇を歪めた。
相手にとって、不足はないわね。
そこら辺の雑魚だったら簡単にぶちのめすが、天才と称される怪盗相手なら面白い。
「どちらが勝つのかしらね…?」
相手が、【男】だから、とか【大怪盗】とかは考えない。
逆に楽しい相手の方がいい。