Phantom Thiefs
+月詠+
数メートル距離が少女とは開いていて。
何分、お互いを見詰め合っていただろうか。
彼女が歩き出した後、月詠は眉間にシワを寄せる。
誰だよ、アレ。
何か睨まれてなかった?
頭にハテナを浮かべて、前髪を掻き上げる。
その時、視界の端にチラついた特注の腕時計。
時刻は23時30分。
“約束”の時間まで、残り30分――――――。
「中はどうなってんのかな?」
トトンッと細く長い足を器用に動かし、明かりが灯るひとつの部屋のベランダへと降り立つ。
…ゲッ、何だあの装置。
今宵盗む予定の宝、【サンタ・ルチア】が見事な警備物で囲われている。
長年怪盗として遊んできた月詠だが、あのようなモノは見たことがなかったのだ。
「あれじゃ、さっさと盗まねぇと…」
鍵を開けるのは簡単そうな装置。
「捕まっちゃうかな…?」
そんなことを言いながらも、やはり月詠の顔は余裕で満たされていて。
彼は、どんな時でも冷静だった。